学習障害178 応用行動分析による行動の改善

学習障害がある子どもは、いくつかの課題を抱えていて、望ましいとされる行動が取りにくいことがあります。そのような子どもに、発達障害児の改善に使われている応用行動分析が活用されることがあります。応用行動分析(Applied Behavior Analysis)はABAとも呼ばれますが、人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析して、さまざまな問題の解決に応用していく理論と実践の体系を指しています。
発達障害児の改善の場合には、行動の前後を分析することで行動の目的を明らかにして、前後の環境を操作して問題行動を解消する分析方法のことをいいます。問題行動の前に、どのような状況(Antecedent)があり、そのような行動(Behavior)が起こり、どういう結果(Consequence)になったのかという情報を集めることが必要で、この情報収集はABCと表現されています。
この方法によって、子どもにかける言葉を変えることで行動が大きく変わることから「魔法の言葉」と言われることもありますが、学習障害への応用の前に、発達障害児の例をあげてABCによるABAを紹介します。よく例としてあげられるのは、おもちゃ屋の前を通ったときの子どもの行動と親の対応です。
おもちゃ屋の前を通ったときに、買ってほしいものがあると子どもが泣いたときに、買ってあげたら泣き止んだということがあります。これで買ってあげた親なり祖父母は解決できたと思ってしまいますが、子どもは泣けば買ってもらえるということがわかり、次におもちゃ屋の前を通ったときに泣くようになります。泣けば買ってもらえるという成功体験があるので、今度は買ってあげないという態度を示しても、買うまで泣き続けるということになります。
これを解決するために、おもちゃ屋の前を通らないようにしても、泣けば買ってもらえるという成功体験のために、他の店の前でも泣いて動かないということにもなります。絶対に買わなければ諦めるということを期待しますが、それも通じない例が多くなっています。そこで保護者が取る行動は、泣き止んだら他のよいことがある(例えば好きなものを食べさせてもらえる)、泣かなければ、ほしがることがなければ家に帰ってから良いことがあるという他のことで誘導することで、他の成功体験を身につけさせるようにする方法があります。