学習障害31 視覚系に課題がある場合の読み書きの困難さ

文が読めない子どもで、視覚系に課題がある場合には、繰り返し練習をしても文字を一つずつ拾って読む逐次読みが続くことがあります。聞いて理解する能力は年齢相応か年齢以上であっても、読むことと文字を追うことが精一杯で、意味を理解しながら読むことができない状態が続きます。
これは視覚系に課題がある場合が多く、目と顔全体の動きを分離することが不十分で、目だけを動かして文字を追っていくことに苦労をしています。目を動かしながら見ていく追視にはエネルギーが必要ですが、視覚系に課題がある子どもの場合には、そのエネルギー量が多く必要で、疲れやすく、そのために文字を追うことに遅れが生じやすくなっています。
文字を目で追っていくときには、文字の全体像を把握して、そのうえで書き順に合わせて目を動かしたり、文字のパーツを覚えるようにしています。ところが、視覚系に課題があると、広い範囲を視線でとらえる周辺視の能力が弱く、複数の文字をまとめて見ることが難しくなっています。一つの文字であっても視線の中心しか見ることができないということが起こります。網膜の中心から離れたところも見えるのが周辺視ですが、一点に集中すると視野に入っているものも見えなくなることがあります。そのことが常に起こっているのが視覚系の課題としてあげられます。
学習障害の分類にあげられる識字障害ではなくて、文字を書くことができない書字障害の場合には、読んだ直後には覚えていて文字の意味も理科しているものの、時間が経過すると文字を忘れてしまうということがあります。これは視覚系の課題がある子どもによくみられることで、単純に繰り返すのではなくて、視覚系のトレーニングが必要になってくるということが言えます。