学習障害7 記憶は睡眠中に蓄積される

学んだことは脳の中に蓄積されると一般に言われていますが、頭に詰め込むように勉強をすれば脳に蓄積されるわけではありません。頭を使って覚えたことは、起きている間は脳の中の入ったことは整理されているわけではなくて、机の上に散らばって乗せられているような状態になっています。
記憶するのは大脳の細胞で、脳が入力された情報を受け取る記銘、それを保つ保持、必要に応じて呼び出す想起の3ステップで行われています。記銘によって雑然とした記憶の要素が、机の引き出しに収められ、新たに記憶する情報が入ってきたときには引き出しから出して、更新して再び引き出しに入れて整理します。
この出し入れの作業をしているのは睡眠中です。睡眠は浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠に分かれます。レム睡眠のレム(REM)はrapid eye movementの略で、眼球が動いていることを指しています。眠りが浅いときには目を閉じていても眼球が激しく動いています。これに対してノンレム睡眠のノンレム(non-REM)はnon- rapid eye movementの略で、眼球が動かずに、ぐっすりと眠った状態です。
レム睡眠は骨格筋が急速状態であるものの脳が活動している覚醒状態で、夢を見ているのはレム睡眠のときです。目覚める寸前まで眠りが浅くなったレム睡眠では、意識があるのに身体が動かないという金縛りの状態になることもあります。
記憶の出し入れをしているのはレム睡眠のときですが、睡眠が浅い、深いというリズムは90分周期とされています。寝ついたときにはレム睡眠が10〜30分続いて、その後にノンレム睡眠が60〜80分となっていて、この周期を4回繰り返すと6時間となります。これ以上の睡眠ではレム睡眠の浅い眠りの状態が続きます。
記憶の出し入れが効果的に行われるのはノンレム睡眠のあとのレム睡眠のときですが、ノンレム睡眠が深い状態、つまり熟睡した後のレム睡眠でしっかりと記憶されていきます。“寝る子は育つ”という言葉がありますが、これは身体だけでなく脳の成長も指しているということです。