感染拡大から考える高リスクの喫煙習慣

新型コロナウイルスの感染リスクとして、間違いなくリスクが高いことが確認されているのは喫煙です。タバコを吸うことは健康にはよくないというのは世界に共通している認識で、喫煙のリスクが高い疾患というと、がん、心臓疾患、脳血管疾患、肺疾患ということになります。肺の疾患のリスクも高いということで、新型コロナウイルスとの関係性も強く言われています。
喫煙によって、どれくらいのリスクがあるのかということですが、喫煙との関係を調査したのは初めて新型コロナウイルスが蔓延した中国です。中国は世界の平均値を得るのに適していないという意見もありますが、喫煙によるリスクは、なんと14倍にも達しています。新型コロナウイルスの蔓延の最中の2020年4月、中国の約8000人を対象にした調査で、男女差をみると、男性の感染者は約55%と少し多く、重症化する人の割合は男性が約62%、致死率は男性が3倍以上となっていました。
致死率は3%ほどでしたが、男性の致死率は10%にも達していることから、男性のリスクの高い原因の追求が始まり、その中で喫煙が浮かび上がってきました。WHO(世界保健機関)の調査(2019年)によると中国人の喫煙率は27.7%ですが、男性の喫煙率が52.1%に対して、女性の喫煙率は2.0%と圧倒的に男性の喫煙率が高くなっています。このデータは、WHOが禁煙を呼びかけるときに使うほど驚きの結果となっています。喫煙者と新型コロナウイルス感染の直接的なデータではないものの、ここまで数が多いと、その関連性を想像するのは容易なことです。
新型コロナウイルスの感染リスクを減らすために、東京都医師会は「四つのお願い」を発表していますが、その中に喫煙が含まれています。最初が「無理せず休んでください」、次が「新型コロナが心配な方、まず電話で相談を」、その次が「喫煙者は、この機会にぜひ禁煙を」と続き、最後に「新型コロナ対策による要介護高齢者等への二次被害を考えてください」となっています。いかに喫煙による新型コロナウイルスのリスクが高く、いかに禁煙が大切かということを示しています。