摂り方がわからないサプリメントは無駄なのか

医師は医療の専門家であると同時に医薬品の専門家でもあると認識されています。さらに栄養の専門家でもあると思われている節もあるのですが、大学の医学教育の中で栄養学を学べる大学が少なく、さらに必修になっているところが極端に少ないことから、これは間違った認識だということは過去に何回か触れているところです。医薬品の専門家かどうかという議論はあるのですが、医薬品に詳しいのは事実で、その詳しい方が医薬品とサプリメントを並べてコメントしているとサプリメントのほうの情報も正しいように感じることもあります。
しかし、書籍に書かれている内容によっては、“チコちゃんに叱られる”ではないのですが、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言いたくなるようなこともあります。日本のサプリメントは匂いがしないのは消臭剤を使っているとか、アメリカのサプリメントのサイズが大きいのは有効成分が多く入っているとかいうことは、事実と違っていても、特に大きな問題はないと考えます。しかし、アメリカのサプリメントには摂るべき人、摂る量、摂るタイミングが書かれているのに、日本のサプリメントは何も表示されていないので不親切だというような書き方をしていました。
サプリメントの中でも特定保健用食品と機能性表示食品では使ってほしい人がわかります。しかし、こういう人が使えば病気が改善するというようなことは書かれていなくて、摂る量とタイミングも書かれていません。医薬品医療機器法に基づく監視指導マニュアルによると、用法用量が記載できるのは医薬品に限られています。サプリメントで記載した場合には偽薬の扱いとなって、法律によって厳しく処罰されるので、書きたくてもかけない制度になっているのです。
ここで問題にした書籍にはサプリメントを“飲む”と表現していましたが、監視指導マニュアルによると“飲む”と書いてよいのは医薬品だけで、サプリメント・健康食品では“摂る”と表現しないといけないのです。こういったことも知って、書籍に残してほしいのですが、それをすべての医師に求めるのは、まだ早いということです。