専門医の多さと平均寿命の短さの関係性

著名な精神科医で、大学教授でもあるドクターの著書は、たまに参考にさせてもらっていて、中でも医療業界に物申すという内容には刺激も受けています。“チコちゃんに叱られる”のように「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られる医師が多いのではないかと気になることが多いのですが、逆の意味で気になって仕方がないことが書かれていました。それは「老年医学会の認定医や専門医が多い県ほど平均寿命が短い」ということです。
この書籍の中では、認定医と専門医が多いほど平均寿命が短くなるかのような印象を抱かせていて、これらの医師が高齢者医療の邪魔をしているという書き方をしていましたが、平均寿命が短いから、それを何とかして改善しようとする医師が多いというように見ることができます。実際は、どちらなのか疑問を呈するか、認定医と専門医が多いことから平均寿命が短くなる要因を説明するべきだと思うのですが、この記述はありませんでした。
この内容が違っていると言うつもりはないのですが、そもそもの記述の仕方から気になることを書かせてもらうと、指摘されている学会は「老年医学会」ではなくて「日本老年医学会」です。正式名称は「一般社団法人日本老年医学会」。一般社団法人という法人名は、会社を示す場合の株式会社と同じように略されることがあるので、「日本老年医学会」とは書いてほしいところです。今どきは、さまざまな似たような学会があるので、知らない新しい学会ができたのかと思っていたら、日本が抜けたまま何度も学会名が書籍の中に出ていました。
日本老年医学会と聞いて、このサイトをよく見てくれている方は、「あの学会か」と気づいたかもしれません。高齢者の年齢を65歳から75歳に引き上げることを、日本老年学会とともに提言した学会です。ちなみに、日本老年医学会の認定医と専門医ですが、高齢者医療認定制度が設けられていて、高齢者栄養療法認定医、老人保健施設管理認定医があります。また、専門医のほうは老年病専門医と指導医があります。このようなことは批判をするなら書籍の中に書いておいてほしかったと感じているところです。