日本人の腸機能の特徴

善玉菌も悪玉菌も細菌の一種であり、エサとなる栄養源を食べて、体内で代謝させてエネルギーを作り出しています。そのエネルギーによって活動して、増殖をしていると同時に、代謝物を外部に排出しています。この代謝物が善玉菌と悪玉菌では違っていて、善玉菌は酸性物質を作り出し、悪玉菌はアルカリ性物質を作り出しています。つまり、善玉菌が増えて酸性物質が多く排出されれば腸内は酸性傾向になり、悪玉菌が増えてアルカリ性物質が多く排出されれば腸内は酸性傾向が弱まり、アルカリ性傾向に近づいていきます。
簡単に区分けすると、人間にとってよい働きをする物質を作り出すのが善玉菌、逆によくない働きをする物質を作り出すのは悪玉菌という分類をされています。
善玉菌は酸性傾向の環境の中で活発に働いて増殖していくわけですが、大事な栄養源(エサ)がなければ、いくら酸性傾向の中であっても増えることはできません。善玉菌が好んで取り込んでいるのは糖質と乳製品、食物繊維となっています。乳製品の中で栄養源になっているのは乳糖で、食物繊維は糖質が長く結合したものです。食物繊維は消化も吸収もされないものですが、腸内細菌が分解して糖質にすることから栄養源とすることができます。
これに対して、悪玉菌が好んで取り込んでいるのは動物性たんぱく質と脂肪であることから、伝統的な和食は糖質と食物繊維が多いので善玉菌を増やしやすく、洋食は糖質と食物繊維が少なく、動物性たんぱく質と脂肪が多く使われているので悪玉菌を増やしやすい食事となっています。
日本人の便通は平均して週に7回とされています。便秘ぎみの人もいれば、1日に数回の便通の人もいるわけですが、平均すると毎日1回便通があることになります。それに対してアメリカ人の場合は週に4~5回が普通で、週に2~3回は出ないことがあっても便秘だという感覚はありません。日本人は便通が1日ないだけでも便秘と考える人もいるのですが、便通がないことで便がとても硬くなり、腹痛がある場合や排便のときに苦痛を感じる状態でなければ1~2日くらいでは便秘と考えないようになっています。日本人に1日便通がないだけでも便秘と考える人がいるのは、過去には毎日1回便通があるのが当たり前の時代が長かったからです。
日本人の便通がよい一番の理由は、野菜を多く食べ、食物繊維を多く摂っているからだと考えられています。日本人のほうが野菜を多く食べているような印象があるものの、それは過去の話であって、今ではアメリカでは野菜の消費量が増え、1年間の野菜消費量を見ると1人当たりではアメリカ人は123kgになっています。それに対して日本人のほうは年々減少する傾向があって、今では102kgでしかありません。これを見ても、いかに野菜を食べなくなったかがわかります。