次世代のための“粉ミルク”

発達障害に特徴的にみられる感覚過敏による極端な偏食は、あまりにも範囲が広くて、それを補うために不足している栄養素が摂取できるように食品を変更させるのは大変です。食べられる食品の中から、この食品を食べればよいというものを選択することは可能であっても、日常的に食べている料理は食品そのものを食べているだけではありません。限られた食品を組み合わせて料理をする保護者の大変さもわかります。全員が同じ料理を食べるのであれば、食材は同じにして調理法を変更するという方法は通じても、1人だけ別の食材を使わなければならないというと手間は2倍にもなりかねません。
それもあって、だいたい食品を紹介しても、サプリメントの使用について相談を受けることも少なくありません。サプリメントの中でも栄養機能食品に分類されているものなら、健康上の問題も少なく、摂取をすることはできます。栄養機能食品となっているのはビタミン13種類(ビタミンA、ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ミネラル6種類(鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛、カリウム)、脂肪酸1種類(n-3系脂肪酸)です。
サプリメントは有効成分が濃縮、凝縮されているものがあることから、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)のように多く摂ると体内に蓄積されて健康被害が出るものもありますが、それを注意すれば使うこともあり得ることです。しかし、その前に食品から不足するものを補うという方法も検討してみてはどうでしょうか。
「たった一つの食品ですべての栄養素が取れるものはない」というのが栄養学の基本的な考えですが、いろいろな栄養素が組み合わされた加工品も食品であることは間違いありません。それでいうと、食物繊維だけは期待できないものの、ほぼすべての栄養素が含まれているのは赤ちゃんが飲むために作られた粉ミルク(調整粉乳)です。粉ミルクは生後直後から1歳くらいまでを対象とした母乳代わりのもの(乳児用)と、離乳食が始まって食事を補うために飲むフォローアップミルク(乳幼児用)があります。
サプリメント感覚の摂取なら、どちらでもよいのですが、乳児用も乳幼児用も栄養バランスが取れていて、農薬と食品添加物が含まれていないという意味では安心して使える食品です。そのまま飲むだけでなく、料理の材料として加えることで不足を補うためにも使えます。