歩くほど増える1歩の金額的価値

歩くことは健康によい、歩いている人は医療費が少なくなると言われていますが、実際に、どれくらいのメリットがあるのかという話になると、なかなかピンとこない人も多いかと思います。これについて厚生労働省研究班が、生活習慣病予防を目的とした試算をしています。その計算の内容は1歩について、どれくらい医療費が下がるのかというもので、企業に勤める1000人を対象として調査をされています。それによると、1歩あたり0.00147円の医療費の削減につながったということです。1歩あたりが0.00147円となると、1万歩あたり約14.7円、1日に1万歩を歩いたとすると1週間あたり約102.9円の価値があることになります。
「たったの100円ちょっと?」と思われるかもしれないのですが、週に7万歩のウォーキングを1年間実施すると、1人あたりの年間医療費の削減効果は「102.9円×52週=5350.8円」となります。これでもまだ少ない感じがするかもしれません。厚生労働省研究班が、わざわざ調査と研究を行ったのは、各自治体がウォーキングに取り組んだときの医療費削減の効果を知るためで、例えば住民のうち1000人が1日1万歩を歩いたとすると、1年間では約535万円にもなる試算となります。
1万人が1日に1万歩を歩けば約5350万円となって、これだけの金額になると、すごい結果と喜ぶ人がいることでしょう。しかし、自治体の担当者の反応はそうでもありません。というのは、自治体が負担する医療費は、全体にかかった医療費の1割くらいだからです。このほかは本人の負担、国の負担などで、全体の医療費が下がることは国が負担する医療費も下げることになります。国民医療費は年間で42兆円を超えていて、1人あたりの医療費が33万円を超えている状況では、大きな結果ということができます。
自分のことだけを考えると大した削減ではないので、それよりも他のことをしようと考えるかもしれませんが、自分が歩くこと、多くの人を誘って歩くことが自治体の負担を減らし、健康になった町民や市民は将来の介護費を削減することにもつながるので、将来の住民のためには大切なことをしていることになります。そう考えて、もっと積極的に歩きましょう、ということを健康に関わる集まりで話すようにしています。