母子の栄養8 食生活指針「カルシウム」

「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では、「乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを充分に」と示されています。

妊娠中や出産後は、胎児の身体を作ったり、授乳したりすることにより、母体からカルシウムが失われます。妊娠・出産・育児に適した身体を作るためには、妊娠前から積極的なカルシウム摂取を心がけることが大切です。

しかし、日本人の女性のカルシウム摂取量は平均的に少なく、充分に摂取できていない状況が長年続いています。特にカルシウムのよい供給源となり、同時にたんぱく質やエネルギー補給にも役立つ乳製品の摂取量は、学校給食のなくなる15歳以降で急激に減ってしまいます。

カルシウムの摂取不足の実態が明らかになったのは、平成11年の「国民健康・栄養調査」の結果が発表されたときのことです。今では男女別の調査は当たり前のことですが、平成10年までは、すべての栄養素の摂取が年齢別の調査だけで、男女が一緒の調査結果しか発表されていなかったのです。

初めて男女別、年齢別の発表がされたときにカルシウムの摂取量が注目されたのは、大きく低下していることが明らかにされたからです。その当時には30代の女性は摂取推奨量に比較して10%も不足していることから大きな問題とされたのですが、それは今と比べると実は大問題ではなかったのです。現在では20代の女性は50%にも充足率は達していません。

乳製品のほか、緑黄色野菜、豆類、小魚などからもカルシウムを摂取することができるので、カルシウムを多く含む食品を組み合わせて、カルシウムの摂取量を増やすように努めることが大切です。

カルシウムは吸収率が低く、牛乳で40%、小魚で30%ほどでしかありません。サプリメントとしての吸収率も30%ほどです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕