水分が不足すると運動をしてもやせにくい

全身の細胞は水分が充分に足りていることによって正常な働きをします。細胞の働きというと、酸素と栄養素を取り込んで、細胞の中で発生した二酸化炭素と老廃物を外に出す働きです。酸素と栄養素があれば細胞は正常に働いてくれそうな感じはするものの、赤血球によって血管の末梢まで運ばれた酸素は、そのまま細胞に取り込まれるのではなくて、水の中に溶け込んでから運ばれていきます。あまりに水分が不足すると、細胞への酸素の運搬が少なくなるのですが、これはあまり心配することはないようです。
心配しなければいけないのは細胞の中にある水分の不足です。成人では体重の60%ほどは水分となっていますが、その水分のほとんどは細胞内にあります。大量に汗をかくと血液中の水分が一時的に失われるものの、これは細胞内の水分によって補われます。細胞は一定の水分量が保たれていることによって代謝が保たれています。この場合の代謝というのは酸素と栄養素を使って、細胞内のミトコンドリアでエネルギーを作り出し、これによって発生した二酸化炭素と老廃物を細胞の外に送り出していることです。
細胞の水分が不足すると、細胞に取り込まれる酸素が不足して、エネルギー代謝が低下します。代謝が低下した状態では、運動をしても本来のエネルギー代謝が起こらなくなり、代謝によって消費される糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)が減りにくくなります。一般的な言葉を使うなら、燃焼しにくくなるということです。
汗をかくと、その分だけやせられるようなイメージもあって、運動中に水を飲まないようにしている人もいますが、体内の水分が失われたままにしておくと、代謝が低下して、運動をした割にはダイエット効果が得られないということになります。体内の水分が1%不足すると喉の渇きを感じるようになり、2%が不足すると強い喉の渇きを感じます。こういう状態では代謝が大きく低下しているので、こんなことがないように水分は常に補給しながら運動をすべきです。