発達栄養学10 代謝に必要な主要ミネラルの役割2

主要ミネラルのうち前回はカルシウム、リン、カリウムを紹介しましたが、それに続いてイオウ、ナトリウム、塩素、マグネシウムの働きを紹介します。
イオウは必須アミノ酸のメチオニン、システインの成分で、身体の組織を作るために欠かせないミネラルです。健康な皮膚や爪、髪の毛を作る、軟骨・骨・腱を作る、肝臓の分泌を助ける、糖質と脂質の代謝に働く、細菌感染に対する抵抗力を高める、といった作用があります。食品では、大豆、にんにく、たまねぎ、ねぎ、にら、アスパラガスのほか動物性たんぱく質(鶏卵、鶏肉、牛肉、豚肉、魚、エビ、貝)に多く含まれます。
ナトリウムは食塩の多くの割合を占めるミネラルで、体内では半分ほどは炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩酸ナトリウムなどとして細胞外液に存在していて、残りの半分ほどは骨に存在しています。細胞外液の浸透圧の維持、体液pHの調整、筋肉の刺激感受性の維持、胃酸や腸液の分泌の促進などの働きがあります。通常の食事でも1日に必要な600mgを摂ることができます。摂り過ぎは血圧上昇などのデメリットがあります。
塩素は胃液の塩酸の成分となるミネラルで、胃の中のpHバランスの調整、体液をアルカリ性に保つ、細胞外液の浸透圧の維持、膵液の分泌の促進などの働きがあります。不足すると胃酸の分泌量が減少します。食品では、食塩や食べ物に含まれる塩分(塩化ナトリウム)から補うことができます。
マグネシウムは多量元素のミネラルで、体内では60~65%は骨に含まれ、残りは肝臓、筋肉、血液などのタンパク質と結合して存在しています。300種類以上の酵素に作用する補酵素であり、筋肉の収縮、神経の興奮抑制、血管拡張による血圧降下などの作用があります。食品では、ひじきやわかめ、アーモンド、ピーナッツ、大豆などに多く含まれます。