発達栄養学108 脂肪摂取は必要でも肉は増やしすぎない

脂肪は太る原因として避けようとする傾向があるものの、脂肪(脂質)が多く含まれている食品は食べていけないわけではなくて、要は分量の問題です。三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質は、どれも全身の細胞でエネルギーになるのだから、1日に摂取するように定められたエネルギー量の範囲であれば、どれから摂ってもよいだろうという考え方をする人もいます。しかし、偏りすぎはよくないことで、バランスのとれた摂り方が求められます。
そのエネルギー摂取バランスは、厚生労働省による『日本人の食事摂取基準』(2020年版)で示されています。これは5年ごとに改定されていて、現状の食事摂取基準は2025年の3月末日まで有効となっています。
1日に摂取するエネルギー量のうち三大エネルギー源の構成割合の「エネルギー産生栄養素バランス」は、糖質が50~65%、脂質が20~30%、たんぱく質が13~20%とされています。思った以上に糖質が多く、脂質とたんぱく質が少なく感じるかもしれません。エネルギー量でみると、1gあたりで糖質は約4kcal、脂質は約9kcal、たんぱく質は約4kcalとなっています。エネルギー量が少ない糖質は多めに食べることがすすめられています。糖質は脂質に比べると2倍以上の差があるので、50〜65%の割合といっても分量からしたら、もっと多くなってきます。
脂質の割合は、『日本人の食事摂取基準』(2010年版)までは20~25%とされていました。脂質の摂りすぎは太ることになり、生活習慣病につながるということで量を控えるように言われているなかで、20~30%と5%も上限が増やされました。これは脂質に対する考え方に変化があったからです。脂質は動物性食品の中でも肉類に多く含まれる飽和脂肪酸と、植物性脂肪や青背魚などに多く含まれる不飽和脂肪酸に大きく分けられます。血液をサラサラにして血管関連病のリスクを下げるのが不飽和脂肪酸、逆にリスクを高めるのが飽和脂肪酸です。
新たな食事摂取基準では、脂質の割合は増えたものの、その代わりに動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸の摂取割合を7%以下に抑えることが求められています。ということは、健康維持のためにも脳の働きのためにも、肉はあまり多く食べないようにすることが示されているのです。