発達栄養学113 エネルギー代謝と健康維持に欠かせないミネラル

身体を構成する成分の約5%がミネラルで、体内に必要な16種類のミネラルは必須ミネラルと呼ばれます。ミネラルには、骨や歯などの身体の構成成分になるほか、体液に溶けてpH・浸透圧を調整する、酵素の構成成分になる、神経・筋肉の調整をするなどの作用があります。そのため、エネルギー代謝を高めて、脳を含めた全身の働きを調整するには、すべてのミネラルが必要になります。
体内に比較的多い7種類(カルシウム、リン、カリウム、イオウ、ナトリウム、塩素、マグネシウム)は主要ミネラル、少量しか含まれない9種類(鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデン、クロム、コバルト)は微量ミネラルがありますが、微量ミネラルは体内に少量しか保持されていないために、食品からの摂取が減って、体内の蓄積量が不足すると健康面で大きな影響が出ることになります。
ミネラルは主には小腸から吸収されますが、亜鉛の一部は胃から、ナトリウムの一部は大腸からも吸収されます。鉄はビタミンCとの組み合わせで吸収率が高まります。鉄は肉類や魚類などの動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、野菜や小穀類などに多く含まれる非ヘム鉄があります。吸収率はヘム鉄が12〜20%であるのに対して、非ヘム鉄が5%前後と大きな差があります。肉や魚が不足しているときには、特にビタミンCが必要になります。
カルシウムはマグネシウムやビタミンDとの組み合わせによって吸収率が高められます。
ミネラルは吸収されたあと、肝臓に運ばれ、他の物質と結合するなどして、全身の必要とされる組織に運ばれます。それぞれの組織はミネラルが補われることによって、本来の機能が発揮されます。ミネラルのうち、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、セレンは補酵素として働きます。ミネラルには血液中や細胞の内外でイオンとなるものがあり、全身のイオンバランスを保つために使われています。