発達栄養学117 野菜が食べられない子どもの対応4ビタミンの話2

発達障害による極端な偏食のために野菜が食べられないという子どもは少なくありません。しかし、そのほとんどは特定の苦手な野菜があって、その苦手とすること(見た目、味、食感など)を料理で手を加えることで改善できます。ところが、中には野菜全般が食べられなくて、野菜を食べることができるまで待っていたら栄養不足になりかねないという例もあり、すぐに対応する必要があります。
野菜で摂取するべき栄養素としてはビタミンとミネラルがあげられます。その中でもエネルギー代謝に特に必要なものはビタミンで、細胞の中で作られたエネルギーは、その細胞の中でしか使われないことから、全身の健康を細胞レベルから支えていくためにはビタミンは非常に重要です。
代謝に必要なビタミンB群と、それ以外の水溶性ビタミンについては前に紹介しました。
4種類のビタミンB群のうち、ビタミンB₁₂だけは動物性食品にしか含まれていないために野菜不足でも補えるものの、ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆は植物性食品と動物性食品に含まれていて、野菜や穀類、豆類、イモ類から補わないと、どうしても不足してしまいます。水溶性ビタミンは野菜に特に多く含まれているため、これが不足すると糖質、脂質、たんぱく質をエネルギー化しにくくなります。
ビタミンには脂溶性の性質があって、油脂に溶けてから吸収されるものがあります。それはビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンKです。この中で身体を機能させるために欠かせないのが抗酸化ビタミンのビタミンAとビタミンEです。また、抗酸化作用は水溶性ビタミンのビタミンCにもあり、これらの3種類は抗酸化ビタミンの“ACE”(エース)と呼ばれています。この3種類にはマイナス電子が欠けている活性酸素にマイナス電子を与えて、通常の酸素に戻す作用があります。
ビタミンは健康維持には必要で、できることなら野菜から摂ってほしいところですが、野菜が食べられないから果物から、それも難しいようなら野菜ジュースからでも摂ることを願っています。
それぞれのビタミンの働きと多く含まれている食品については次回以降で紹介します。