発達栄養学26 自律神経の乱れが栄養摂取を低下させる

自律神経の交感神経と副交感神経は、そのバランスによって身体機能を調整しています。昼間の活動的な時間には交感神経の働きが盛んになり、夕方から朝までの休息の時間には副交感神経の働きが盛んになります。胃液を多く分泌させるのも、ブドウ糖を細胞に取り込んだり、肝臓で中性脂肪の合成を盛んにするインスリンを膵臓から分泌させるのも副交感神経の働きです。だから、夕食は太りやすいし、遅い時間に食べると、もっと太りやすくなるということです。
この交感神経と副交感神経の切り替えは、充分な睡眠時間が確保されていて、三食の食事時間(食べている時間ではなくて、食事を始める時間のこと)が規則正しければ、比較的スムーズにいきやすくなります。ところが、睡眠と起床のリズムが乱れて、それに伴って食事のリズムが乱れていると、交感神経の働きが盛んにならなければならない昼間に副交感神経の働きが盛んになって身体の動きがスムーズにいかなくなったり、その逆に副交感神経の働きが盛んにならなければならない夕方以降に交感神経の働きが盛んになって興奮しやすくなってしまいます。
発達障害では、生活の乱れが自律神経の乱れを引き起こすというよりも、自律神経の調整がうまくいかないために、昼間に身体が動かない、夜に興奮状態になるということが起こりやすくなっています。これでは消化をさせたいのに充分に消化できないということも起こってしまいます。
交感神経と副交感神経のバランスで働いているのは腸も同じで、吸収を盛んにするのも、蠕動運動を盛んにするのも副交感神経の働きです。ということは、栄養の吸収がよくない、便通が悪いという状態では、交感神経の働きすぎが考えられるというわけです。