発達栄養学8 ミネラルの代謝の働き

人体の約95%は炭素、水素、酸素、窒素などの元素が結合した有機物で、残りの約5%の元素の無機質がミネラルとなっています。体内に必要な16種類のミネラルは必須ミネラルと呼ばれます。ミネラルのうち体内に比較的多い7種類(カルシウム、リン、カリウム、イオウ、ナトリウム、塩素、マグネシウム)は多量(主要)ミネラル、少量しか含まれない9種類(鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデン、クロム、コバルト)は微量ミネラルといいます。厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』では13種類(イオウ、塩素、コバルト以外)のミネラルが示されています。
ミネラルには、骨や歯などの身体の構成成分になるほか、体液に溶けてpH・浸透圧を調整する、酵素の構成成分になる、神経・筋肉の調整をするなどの作用があります。
ミネラルは吸収されたあと、肝臓に運ばれ、他の物質と結合するなどして、全身の必要とされる組織に運ばれます。それぞれの組織はミネラルが補われることによって、本来の機能が発揮されます。ミネラルは主には小腸から吸収されますが、亜鉛の一部は胃から、ナトリウムの一部は大腸からも吸収されます。鉄はビタミンCとの組み合わせによって、カルシウムはマグネシウムやビタミンDとの組み合わせによって吸収率が高められます。
ミネラルのうち、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、セレンは補酵素としても働きます。中でも重要となるのは酵素の働きを補う補酵素としてのマグネシウムと亜鉛で、補酵素がなければ酵素は正常な働きをすることができなくなります。それはエネルギー代謝においても同様で、マグネシウムは約300種類、亜鉛は約200種類の酵素のための補酵素となっています。
ミネラルには血液中や細胞の内外でイオンとなるものがあり、全身のイオンバランスを保つために使われています。