発達栄養講習1 発達支援の基本の“発達栄養”

“発達栄養”という言葉を見聞きして、「発達障害児のための栄養」「発達障害を改善するための栄養」ということを思い浮かべる人は、それほど多くはないはずです。発達は低い段階から高い段階に向かっていくことを示す用語で、身体や精神について使われるときには完全な状態に近づいていく成長状態を指しています。

この認識からいくと、“発達栄養”は子どもが成長していくための栄養ということになり、栄養摂取そのものの役割を示す言葉となります。発達は誰もが成人に向かって歩んでいくことであり、すべての子どもたちに必要な栄養摂取を意味することになります。

その考えの一方で、“発達”という用語が登場すると、それに続いて“障害”をつけて、“発達障害”を思う浮かべる人も増えてきています。発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の偏りによって起こる障害と定義されています。

発達障害の発現率は文部科学省の2012年(平成24年)の調査で、担任が発達障害の可能性があると返答している児童(小学生)生徒(中学生)は6.5%とされましたが、実際には10%は存在していると考えられています。

全国の発達障害児支援施設の受け入れ人数が100%稼働率であったとしても、対応できるのは児童生徒の35%ほどでしかありません。発達障害児を受け入れている特別支援学級の児童生徒と、通級による指導を受けている児童生徒は、全児童生徒の割合からすると3%ほどとなっています。それだけ支援を受けられず、家庭で対応するしかない人が多いのが現状だということです。

子どもの発達のために家庭でできる基本的なことは、心身の成長のために毎日の食事による栄養摂取となります。そのための発達障害がある子どもに適した栄養についての情報は自治体から発信されることは少なく、保護者が情報を得る機会も多くはなくて、情報を得たとしても、それを充分に理解して実践するということは、ほとんど望めないのが現状です。

私たちが、これまで研究してきた栄養学の支援対象を発達過程にある子どもたち、中でも発達障害がある子どもたちに絞って講習を進めていく根底には、このような事情が存在しているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕