発達栄養講習2 子どもは走りながら車体を作っているようなもの

栄養学の基本中の基本とされる食品による栄養摂取は、子どもも成人も高齢者も同じものが使われています。それは6つの基礎食品群で、1群はたんぱく質(魚、肉、卵、大豆、大豆製品)、2群はカルシウム(牛乳、乳製品、海藻、小魚類)、3群はビタミンAなどの脂溶性ビタミン(緑黄色野菜)、4群はビタミンCなどの水溶性ビタミン(淡色野菜・果物)、5群は主食のエネルギー源(穀類、イモ類、砂糖)、6群は脂肪のエネルギー源(油脂類、脂肪)と分類されています。

これらの食品をバランスよく摂取すれば健康の維持・増進を図ることができるというのは間違いではないものの、子どもの成長に必要な栄養素は成人と同じだとの考えは間違いだといえます。

同じバランスで身体の大きさに応じて量を増減させればよいとも考えられがちです。医薬品の場合には、子どもは大人の半分ほどという目安が設けられている種類もあるわけですが、栄養素の場合には身体の大きさによって全体的に増減させればよいというものではありません。

大人は身体に取り入れた摂取エネルギー源が増えれば体脂肪が多く蓄積される、摂取エネルギー量よりも使われる消費エネルギー量が多ければ体脂肪が減るというように、出し入れのバランスとして単純に考えることができます。これは自動車にたとえると完成した車体にエンジンを動かす分だけのガソリンを入れればよいという感覚に似ています。

ところが、子どもの場合には未完成な状態から完成形の車体に年月をかけて近づけていくということで、走りながら車体を作っているようなものです。完成していない車体で走っているときには、「ちょっとした事故でも命取りになりかねない」という話をしています。

その発達中の子どもの身体を作るための栄養素というと、筋肉、内臓、骨、脳などの材料となるたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを摂ることが重視されます。そのこと自体は間違いではないものの、自動車工場で部品から車体を組み立てていくときには、その作業に携わる人の身体活動のための食事もいれば、電気なども必要になります。

その身体のためのエネルギーを作り出すために必要になるのが三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質です。しかし、この三大エネルギー源は、身体に取り入れれば、つまり食品を食べれば、そのまま身体の中でエネルギーになってくれるものではありません。

エネルギー化させるためには、エネルギー代謝のメカニズムに合ったビタミン、ミネラル、そして代謝促進成分が必要になります。この代謝を促進するために使われる成分を三大エネルギー源とともに不足することがないように、子どもには摂らなければならない成分があるのです。それについては徐々に明らかにしていきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕