発達栄養109 セロトニンを増やすための腸内環境

発達障害では神経伝達物質の中でも抑制作用があるセロトニンの分泌量が少ないために、興奮作用があるドーパミンやアドレナリンの働きが強くなり、それが発達障害の困難さを強めることにもなっています。

セロトニンの量を増やすためには、その材料となる必須アミノ酸のトリプトファンを摂ることが必要です。必須アミノ酸は体内では合成されないため、食品から摂る必要があります。トリプトファンは乳製品、肉類(特にレバー)、大豆、ナッツ類に多く含まれています。

これらの食品を多く食べれば、それでセロトニンが増えるわけではなくて、まずは胃で消化されて、小腸から吸収されなければなりません。その消化・吸収を盛んにするためには、自律神経の副交感神経の働きが盛んになっている必要があります。

副交感神経が消化・吸収を高めているからですが、発達障害がある人は副交感神経の働きが弱いために消化も吸収も弱まっています。消化をよくするためには、よく噛んで食べることで唾液を増やす方法もあるものの、消化の中心は胃から分泌される消化液です。

なかなか難しいところではあるのですが、解決法があります。それは大腸の状態をよくして腸内環境を整えることです。というのは、セロトニンは脳内で使われるものであるのに脳で合成されるのは全体の5%ほどで、残りは腸内で合成されているからです。

腸の働きがよければ、セロトニンも多く作られるということですが、発達障害では消化・吸収だけでなく、蠕動運動も弱くなっています。蠕動運動が盛んになると腸内の温度が高まって善玉菌が増殖しやすくなり、排泄も盛んになっていきます。

どのようにして蠕動運動の弱さを補うのかというと、腸内細菌の善玉菌を増やすことで、そのためには善玉菌と同様の乳酸菌やビフィズス菌が含まれる食品を摂ること、善玉菌の栄養源となっている糖質、乳製品(乳糖)、食物繊維を増やすことです。

悪玉菌が増えると善玉菌は減っていくので、悪玉菌の栄養源の動物性たんぱく質と脂肪は少なめにすることです。ということで、トリプトファンは含まれる食品としては、乳製品、大豆・大豆製品(納豆、豆腐、豆乳など)、ナッツ類を増やすことがすすめられるわけです。