発達障害のグレーゾーンは予備群なのか

発達障害で使われるグレーゾーンは正式な診断名ではありません。グレーゾーンは生活習慣病においては診断域に達していないもののリスクが高い境界域を指していて、予備群とも呼ばれています。発達障害のグレーゾーンは、専門家によって発達障害の可能性を指摘されたものの、すべての診断基準を満たしていないことから確定的な診断ができない状態を指している通称です。
グレーゾーンの主な症状3パターンとしては、①調子が良いときも悪いときも診断域外にいるが、診断域との境界に限りなく近い状態の人、②調子の悪いときのみ診断域に入る状態となる、③ほぼいつも診断域内の状態で、発達障害がある人と同じくらいの支援を必要とする人に分類されます。
グレーゾーンは、どの発達障害の傾向があるのかによってみられる特性が異なるため、特定の症状は存在していません。また、グレーゾーンには、それぞれの人がもつ特性の程度や現れ方が、体調や環境、場面によって左右されるという特徴があります。学校では症状が強く出るものの、家庭では比較的症状が弱いといったことが起こりやすく、家族に気づかれにくいこともあります。
発達障害は数値的な基準がないために見極めにくく、学業成績がよいためにグレーゾーンと気づかれず、大人になってから発覚することがみられます。発達障害の特性に気づかず、適切な支援が受けられないことから、周囲に理解されないまま成長して失敗体験を積み重ねることにもなります。そのために新たな障害が生じることは二次障害と呼ばれています。二次障害としては、いじめ、不登校やひきこもり、うつ病などの精神疾患、家庭内暴力、アルコールなどの依存症などがあげられます。
二次障害は適切な対処が行われないと状況が悪化して、長期化する傾向にあります。グレーゾーンでは二次障害の防止が重要なポイントとなります。二次障害を防止するためには、子どものもつ発達上の特性を家族などが認識して理解している必要があります。二次障害は生じたとしても早期に発見、対処することによって、悪化や長期化を防ぐ可能性を高めることができることから、発達障害の理解を進め、社会的な支援を充実させることが大切なことになります。