発達障害の注意欠如・多動性障害は男女で特徴がある

注意欠如・多動性障害は自閉症スペクトラム障害に比べると判断しやすいとされていますが、女子の場合には気がつかれないことが少なくありません。注意欠如・多動性障害は、不注意、多動性、衝動性に大きく分けられていて、男子の場合には多動性と衝動性が多く、行動に特徴があるために目立ちやすくなっています。それに対して女子の場合には多動性と衝動性が少なく、不注意が目立っています。多動性と衝動性は落ち着きがない行動で、男子と女子を普通に比べても女子のほうが落ち着いていると見られています。
不注意のほうは、外に影響することでもなくて、外から見てわかりやすいことでもないことから、学校だけでなく家族も見逃してしまいがちです。不注意の特性のために、周囲の反応に気づかずに自分勝手な行動をしたり、おしゃべりが終わらない、という女の子の特徴と感じられることが少し強めに出ているだけと見られがちです。
周囲のことに気を使わずに、自由な行動をする、ボーッとしていることがあり、怠けているとか、さぼっていると見られることがあります。普通の女の子と違っていて、周囲と違った雰囲気があり、言動がズレている、変わった行動をするということで「少し抜けている」「天然」と評されることもあります。
これが個性ということであればよいのですが、注意欠如・多動性障害の不注意であった場合には、周囲から気づかれないまま過ごして、大人になって診断されるまでは周囲との関わりがうまくいかずに、不安障害や心身症につながることにもなりかねません。子どものときには可愛い行動と思われたとしても、大人になったら女の子らしい行為から、女性らしい行為、女性らしい気遣いが求められるようになり、可愛らしい「抜けている」というポジティブだったことが「気が利かない」とネガティブにも取られてしまいます。
女性が求められる役割の一つに家事がありますが、細かな気遣いの積み重ね、繰り返しで成り立っているのが家事で、不注意の特性がある人は細かな作業が苦手ということもあって、「女性は家事ができて当たり前」という周囲の考えは大きなプレッシャーになっているのです。