発達障害の聴覚過敏は常に騒音と感じる

発達障害の自閉症スペクトラム障害にみられる感覚過敏は、個人によって五感の刺激が異なっているので、同じ視覚過敏、聴覚過敏であっても同じように感じているわけではなくて、感じ方には雲泥の差があります。とはいっても、聴覚過敏の場合には鋭い状態になっている人が多くて、まだ騒音に慣れていない子どもにとっては苦痛でしかない状態です。
どのような苦痛なのかといっても、こればかりは他のことに例えないと理解は難しいかと思います。パチンコ店に子どもはあまり行くことはないかとも思いますが、子どもの来店は想定されていないことから、これこそ騒音と呼べるような大きな音となっています。そのレベルは80〜100db(デシベル)にもなります。80dbは地下鉄の車内(窓を開けている状態)、90dbは操業中の工場、100dbは電車の通るガード下の騒音とされています。
ところが、聴覚過敏では40dbを2倍の80dbにも感じてしまいます。40dbはスーパーマーケットの音楽や館内放送がないときのレベルです。他の人には気にならない程度の音であっても、聴覚過敏では地下鉄の車内の音にも感じられるということで、これでは、その場でおとなしくしているように言われても、そうはいかないという状況です。騒音の中では大きな声を出さないと聞こえない状態ですが、そのために急に大声を出すということにもなります。
聴覚は、一般には慣れの調整があって、聞き慣れているうちに不要なものはレベルを下げて脳に届いて反応するということがあります。ところが、聴覚過敏では慣れの調整がうまく働かず、不要感覚のレベルが下げられない状況となっています。そのために騒音でなくても、まるで騒音のように感じて過敏に反応することにもなります。
ちょっとした注意のはずの言葉が、とても大きく聞こえて、まるで物凄く叱られている、怒鳴られているように感じられてしまうということもあります。聴覚過敏の子どもに対しては、声かけも相当の注意が必要ということです。