発達障害サポーター50 地域から広域エリアでの支援活動

発達障害児の支援団体とフードバンクの運営団体に関わっていると、同じ社会的障壁があることに気がつきます。
発達障害児を支援する施設は、できるだけ生活圏に近いところにあるほうがよいと思って、空白地域に新設することを考える人が多くいます。通所タイプの施設では保護者の送り迎えも大変で、できれば距離も移動時間も短いほうがよいと判断されるからです。
フードバンクは、遠くまで食品を取りに行くのは大変で、宅配するにしても近ければ頻繁に届けられる、届ける側も効率よく回れるということがあります。そこで空白地域があれば、そこに施設を設けることが考えられます。
その地域に寄付をしていただける会社や店舗などがあればよいわけで、そのような地域が選択されやすいのですが、受け取りに来る方、届ける先が近いと思っていたら、案外と違っていることがあります。話をしてみると、遠方から受け取りに来ている人が思った以上に多いのです。
その地域にもフードバンクがあることを教えてあげると、「近いところで受け取りたくない」という声が聞こえてきます。コロナ禍だけでなく、生活が苦しくなっているのは本人のせいだけではない、誰でも、いつでもフードバンクが必要になるかもわからない時代だけに、周囲の目を気にすることなく利用してほしいと思うのですが、同じように思わない人も多くいるのです。
それと同じようなことが発達障害児の支援でも起こっています。生活圏の近くの施設に子どもを通わせると発達障害児であることがわかってしまう、そのことで支障が出ることを恐れて、わざわざ遠くの施設を利用している保護者も案外と多いのです。
発達障害児支援施設は、その内容と対応も大事ですが、それと同時に近所の目を気にして、生活圏から離れた遠いところに通わせるということがないように、社会的障壁を取り除く活動にも力を注ぐ必要があります。
生活圏ではないところでの支援を求める保護者の存在に気づかない自治体も存在しています。そのことに気づいていても、自治体は活動範囲が限られているので対応ができないということもあります。
発達障害の社会的障壁が取り除けていない現状では、生活圏の地域だけでなく、広域エリアでの支援活動をするように自治体の連携、施設の連携も重要であると考えます。だから、発達障害の理解を進めるサポーターの普及と育成を早めたいと強く認識しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)