発達障害支援8 グレーゾーンの考え方

発達障害ではグレーゾーンという言葉が使われることが多いのですが、これは正式な診断名ではありません。グレーゾーンは生活習慣病でも使われている用語で、この場合は診断域に達していないもののリスクが高い境界域を指していて、予備群とも呼ばれています。

これに対して発達障害のグレーゾーンは、専門家によって発達障害の可能性を指摘されたものの、すべての診断基準を満たしていないことから確定的な診断ができない状態を指す通称となっています。

グレーゾーンは、どの発達障害の傾向があるのかによってみられる特性が異なるため、特定の症状は存在していません。また、グレーゾーンには、それぞれの人がもつ特性の程度や現れ方が、体調や環境、場面によって左右されるという特徴があります。学校では症状が強く出るものの、家庭では比較的症状が弱いといったことが起こりやすく、家族に気づかれにくいこともあります。

グレーゾーンであることが医師によって指摘されると、症状が軽い状態であると捉えられがちですが、それぞれの発達障害の診断基準を満たしていないだけで、症状が軽いとは限りません。それぞれが診断基準に達していないとしても、ギリギリのところで達していない項目が複数あると、発達障害と同様の困難さが生じてきます。しかし、現状の診断基準では、これは発達障害ではなく、グレーゾーンとされるのです。

発達障害では状態に幅があり、調子がよいときと調子が悪いときで症状の現れ方が異なり、その差が大きい場合もあります。グレーゾーンにある人も同様で、さまざまな状態の人が存在しています。子どもの場合には発育の差があり、さらに症状が大きく変化する傾向があります。

グレーゾーンは3パターンに大きく分けられます。主な状態の3パターンとしては、①調子が良いときも悪いときも診断域外にいるが、診断域との境界に限りなく近い状態の人、②調子の悪いときのみ診断域に入る状態となる人、③ほぼいつも診断域内の状態で、発達障害がある人と同じくらいの支援を必要とする人に分類されています。

このパターンへの対応については次回に紹介します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕