糖と脂肪の関係は紙と木かマッチと木か

エネルギー代謝の主役は糖(ブドウ糖)と脂肪(脂肪酸)です。ブドウ糖も脂肪酸も細胞の中にあるエネルギー産生器官のミトコンドリアに取り込まれて、代謝によってエネルギーが作り出されています。代謝には時間差があって、ブドウ糖はすぐに取り込まれてエネルギー化されますが、数分で終了してしまいます。ウォーキングなどの有酸素運動をした場合に「10〜15分間はブドウ糖が主に燃焼される」と言われるのは、そのためです。脂肪酸のエネルギー代謝には時間がかかり、ブドウ糖の代謝が減ってくると脂肪酸の代謝に切り換わっていきます。そして、脂肪酸のエネルギー代謝は有酸素運動を続けている間は継続します。
このブドウ糖と脂肪酸の関係について、日本メディカルダイエット支援機構では“紙と木”に例えています。紙は、すぐに火がついて、短時間のうちに燃えてしまいます。これに対して、木は火がつくまでに時間がかかるものの、火がついてしまったら、ずっと燃え続けてくれます。このことから、紙はブドウ糖に、木は脂肪酸に例えられるわけで、体脂肪として中性脂肪(脂肪酸が3つ結合)が多く蓄積されている人は多くのエネルギーを作ることができるというわけです。
これに対して、ブドウ糖と脂肪酸の関係を“マッチと木”に例える人もいます。マッチも火がついたら、すぐに燃え尽きてしまい、その後に木が燃えていきます。紙と木にしても、マッチと木にしても同じではないかという声もあるのですが、紙そのものは燃えることはできなくて、マッチは自身が燃えるものです。ブドウ糖は燃えやすいといっても、ブドウ糖を置いておいたり、刺激を加えることで燃えるようなことはありません。ブドウ糖はミトコンドリアの中のTCA回路に入って、クエン酸から次々と別の酸に変化していって、一周してクエン酸に戻ってくるとエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生します。
こういうことから考えると、私たちが例える“紙と木”の関係のほうが相応しいというか、理解しやすいように感じます。