糖質制限で1日1食は本当に健康によいのか

糖質制限に関する書籍は相変わらず人気が高いようで、書店でも平積みされています。平積みというよりも高く積まれていることもあり、本を積み重ねた高さが売り上げのグラフかと思えるようなアピールをされているのは、“糖質制限”を目立たせると売れるからなのでしょう。
その平積みの書籍の中で、糖質制限の第一人者の先生が書いていることが気になりました。これまでの書籍では糖質制限の理論と、糖尿病の患者の統計的な結果が紹介されていて、それなりの説得性も感じました。ところが、今回の書籍は第一人者の先生が自分の経験を紹介するところから始まっていて、自分は糖質制限をするだけでなく、1日に2食にすることで身体の調子がよいということを書いていたので驚きました。1日に2食ということに驚いたというのではなくて、食べているのは昼食と夕食で、朝食を食べない生活を20年以上も続けているというのです。
1日に2食は人類の歴史では当たり前の時代が長く続き、それは朝食と夕食で、その間に空腹を感じたときには少し糖質を摂るというのが普通のことでした。糖質制限派の人にとっては空腹時の糖質もよくないということになるのかもしれませんが、糖質は健康維持には欠かせないもので、特に脳細胞は糖質がないと正常に働かせることができません。全身の細胞は糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、たんぱく質(アミノ酸)をエネルギー源とすることができるのに対して、脳細胞にはブドウ糖しか通過しないので、ブドウ糖が不足することがあってはいけないのです。1日に必要となるブドウ糖は150gとされ、そのうちに20%は脳が使っているので、30gは摂らないと生きていけなくなるのです。
脳のブドウ糖が不足すると生命維持に影響が出るので、体内に蓄積されたタンパク質を分解してブドウ糖を作り出す糖新生という仕組みは身体の中にあるのですが、これは危機的状況に働かせるべき仕組みで、それが常に起こっているのは正常ではないことは知っておいてほしいのです。