肌とストレス22 ターンオーバーを整える入眠法

細胞の新陳代謝に大きな影響を与えているものとして成長ホルモンがあげられます。成長ホルモンは、その名のとおり身体を成長させるために必要なホルモンですが、影響を与えているのは筋肉や骨、内臓などの成長だけではありません。皮膚を含めた全身の細胞の新陳代謝にも影響を与えます。

成長ホルモンの分泌は年齢によって大きく変化していきます。思春期は成長ホルモンが多いことが知られていますが、思春期でも時期によって大きな変化があります。思春期前期の分泌量を100%とすると思春期後期には200%にもなります。

これが皮脂を増やすなど、成長期の肌荒れを起こす原因の一つにもなっています。この時期を過ぎると成長ホルモンの分泌は低下していって、30〜40代では50%、50〜60代では30%にも減ってしまいます。

成長ホルモンは細胞分裂を盛んにして、タンパク質の合成を促進する働きがあるため、皮膚の健康にも大きく関わっています。皮膚のターンオーバーにも成長ホルモンの分泌量は影響を与えていることがわかります。

成長ホルモンは、成長期には昼夜を問わず分泌されているのですが、これを過ぎると多く分泌される時間が限られてきます。それは運動をしているときと眠っているときです。運動をしたあとに眠るのは成長ホルモンを多く分泌させるのに効果的だと言われますが、普通の生活をしていると、これを活用するわけにはいきません。

その次に成長ホルモンが多く分泌されるのは深夜の睡眠中で、熟睡しているときに多く分泌されるようになります。

以前は“シンデレラ睡眠”や“お肌のゴールデンタイム”という言葉が盛んに使われていました。シンデレラ睡眠は0時の前に寝ることを指しています。お肌のゴールデンタイムは22時から深夜2時までの睡眠を指していますが、研究が進むにつれて、入眠する時間よりも熟睡のほうが重要だということがわかってきました。

睡眠のリズム(浅い・深い)は90分周期で起こっているとされます。これは平均であって、全員が当てはまるわけではないのですが、約45分をかけて深い眠りに入り、次の45分で睡眠が浅くなるということを繰り返しています。
最も熟睡しているのは1回目の周期で、このときに深い眠りが得られていると、それに続く睡眠周期も深くなっていきます。それによって成長ホルモンも多く分泌されるようになります。

睡眠には自律神経の調整が重要で、夕方以降は副交感神経の働きが盛んになり、入眠のタイミングで副交感神経の働きが盛んになっていることで深い眠りに入ることができるようになります。

熟睡のためには副交感神経が働いてリラックスした状態になっていることが大切であるのに、起きている間は照明が明るく、興奮させる交感神経の働きが盛んになるブルーライトのLED、パソコン、スマホを使いっぱなしということが多くなっています。これでは熟睡しにくいので、肌の健康を考えるのであったら、熟睡できる環境づくりから考えるようにしたいものです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕