自業自得による苦を楽に転じる

自業自得というと、自分がやってきたことの報いを受けるという意味で捉えられることが多くて、よくないことを指すときに使っている人が多いようです。しかし、自業自得は、自業がやってきたこと、自得が自分に起こる結果であって、悪いことだけでなく、よい結果もあるのです。

悪い結果が現れるときに使うのは「因果応報」です。これもよい意味と悪い意味で使われると言われることがあるものの、応報戦略というビジネス用語があって「しっぺ返し」の意味なので、応報は悪い結果という認識をしています。

自業自得(じごうじとく)の頭の2文字と最後の1文字をつなげると“じごく”となります。自業自得で地獄に落ちないように善行を積むというような言われ方がされます。これは地獄が存在していて、悪いことをすると地獄に落ちるという思いがあるからです。

地獄行きか極楽行きかの裁判をする裁判は地獄の閻魔十王という裁判官がいて、7日ごとに裁判が行われ、最後の7回目、つまり四十九日に閻魔大王の最終判決が下されるということで、みんなで地獄に落とさないようにお参りをすると説明されています。

私はお寺育ちですが、地獄は無縁と感じていました。というのは、浄土真宗の宗祖の親鸞(しんらん)聖人は地獄に落ちるのは生きている間に自業自得による苦を経験したままの者で、経験していない者、苦を楽に転じた者は地獄に落ちないと説いているからです。

自業自得の苦しみが「自業苦」(じごく)で、「楽を求めて苦しむ世界」をいいます。この自業による「苦を転じて楽しむ世界」は「業苦楽」(ごくらく)です。苦しむだけで終わってしまったら地獄に落ちることもあるかもしれないのですが、苦に押しつぶされることなく、楽しみに変える工夫と努力をすれば極楽に行けるというか、生きているときから極楽だというのが親鸞聖人の教えの要約です。

だから、「これが生き地獄か」と感じるようなことがあっても、苦を転じて楽にするための通過点ということで、心身ともに耐えられるうちは苦を楽しもうと考えるようにしています。また、その考えで過ごすことをすすめています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕