運動をすると体内で作られる純粋な代謝水

運動をするときには水を飲んでおかないと熱中症の危険性が高まります。運動時だけではなくて、朝の目覚めのときにもコップ1杯の水は必要とされます。これは1日の3分の1もの時間になる睡眠中に蒸発する水分があり、それを補っておかないと全身の細胞の働きが正常に保たれなくなるという意味でも言われます。朝の1杯の水は腸の働きをよくする効果もあります。これは冷たい水による胃の刺激が大腸を働かせる“胃‐大腸反応”によるものです。
水を飲む話をすると、必ずといっていいほど聞かれるのが1日に飲むべき水の量です。出ていく分の水を補うのが原則です。1日に尿と便から排出される水は1500ml、汗で約500ml、呼吸で約500mlと合わせて2500mlが身体から出ていきます。2ℓ(2000ml)と計算されることもあるのですが、そのときには大抵は呼吸とともに外に出ていく水を入れていません。呼吸による水は運動をして呼吸数が増えると、それだけ排出も増えていきます。
これに対して、食事の中に含まれている水分は約1000ml、身体の中でエネルギーが発生するときにできる代謝水が約300mlで、残りの約1200mlは水分として飲まなければならないことになります。代謝水というのは、全身に約60兆個あるとされる細胞の中でエネルギー代謝によって発生する純粋な水のことです。エネルギー源の糖質(ブドウ糖)や脂質(脂肪酸)が細胞のミトコンドリアの中にあるTCA回路で酸素を使いながらエネルギーを産生するときに二酸化炭素と同時に水も発生しています。代謝水の量は1gのエネルギー源について、糖質では0.6g、脂質では1.1gと計算されています。
運動をしたときには汗が多く出るだけでなく、尿の量も増えます。それだけでなく代謝水が細胞に満たされ、血液の中の水分も増やしてくれます。汗や尿として出ていった水分は細胞から補われるのですが、細胞は一定の水分がないと正常に働かなくなるので、これが不足するような状況になったときには血液中の水分から補われるようになります。これが進むと、血液がドロドロの状態になって、血管の疾患につながることにもなり、さらに代謝を低下させることにもなりかねません。だから、水分は着実に補給してほしいのです。
水は小腸から吸収されます。それに対してお茶は胃からも吸収されます。水を続けざまに飲むと胃が膨れた飲みにくくなるのですが、お茶は喉が乾いているときには何杯でも飲めるのは、吸収されるところが胃と腸の両方だからです。お茶だけでよいという話ではなくて、飲めるときには水も飲もうという話です。