高齢者は65歳以上でよいのか

高齢者は65歳以上と定義されています。65〜74歳が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者と分類されていますが、この分類でよいのか、そもそも高齢者は65歳以上でよいのかという議論は以前からありました。2018年3月に後期高齢者が前期高齢者の数を超えるという、まさしく超高齢社会に突入した時代には、高齢者の定義について、さまざまな意見が出てくるのは当然のことです。
高齢者を65歳以上とするようになったのは1965年のことで、WHO(世界保健機関)が当時の欧米諸国の平均寿命を調べたところ、男性が66歳前後、女性が72歳前後であったことから平均寿命近くまで長生きした人を高齢者としました。その当時の日本の平均寿命は男性が67.74歳、女性が72.92歳であったことから、日本でも65歳以上を高齢者とすることを受け入れることとなったわけです。
男性で2年強、女性で8年弱の差なので、男性は平均寿命近くとしても、女性は随分と差があることになります。男性の平均寿命を基準に考えるとすると、2018年には男性が81.25歳、女性が87.32歳なので、高齢者の年齢を80歳以降にしてもよいとの考えにもなりそうですが、それではいくら何でも65歳から引き上げるには問題があります。そこで出てきたのが75歳という年齢です。
日本老年学会と日本老年医学会は「加齢に伴う身体的機能の変化の出現が5〜10歳は若返っている」ということを根拠に、高齢者は75歳にするべきという提言を行いました。これまで前期高齢者であった65〜74歳は准高齢者、75〜89歳が高齢者、90歳以上を超高齢者とするものです。准高齢者としたのは、介護社会では支えられる側ではなく支える側になるものという考え方をしています。
国民年金の支払い時期を遅らせて、100年安心とするために75歳に10年も引き上げようとしているという見方もあるものの、75歳からを高齢者としないと世の中が成り立たなくなり、75歳までは元気でいられるように健康面でも、いろいろな挑戦をしないといけない時代になったということかもしれません。