どれくらい砂糖を摂っても大丈夫なのか

糖尿病や糖尿病予備群の人に対して、血糖値を上昇させるブドウ糖の摂取量の指導をしていますが、「糖尿病でなければ、どれだけ摂ってもいいのか」と聞かれることがあります。100kcal単位のダイエット指導では100kcalを基準として示しています。砂糖のエネルギー量は1g当たり約4kcalなので、砂糖に換算して25gという量になります。砂糖を飲み物に入れるだけなら、自分で量を調整できるものの、菓子でも加工食品でも砂糖は使われています。コーラ飲料は1缶(350ml)で35〜39gの砂糖が使われています。これだけでも私たちの推奨量を超えています。
公的な推奨量とされるのはWHO(世界保健機関)が2015年に発表した「砂糖摂取量ガイドライン」です。以前は1日に摂取するエネルギー量のうち砂糖は10%未満に抑えるべきだとされていましたが、新ガイドラインでは5%未満に抑えて、25gの量にするべきだとしています。
日本人は、どれくらいの栄養素を摂っているのかを調査している国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、食品別の摂取量も調査していますが、なぜか砂糖は分類から外れています。そこで食糧需給表(農林水産省)を使って計算していますが、1日の食事摂取量の10%ほどが砂糖となっていて、1日に2000kcalを食べている場合には砂糖は50gほどとなります。この量はWHOの以前の推奨量と同じで、新ガイドラインでは2倍も摂っていることになります。
新ガイドラインで制限するようにされているのは、糖類のうち単糖類(ブドウ糖)とショ糖(砂糖)だけで、加工食品や清涼飲料に加えられる砂糖のほかに、蜂蜜やシロップ、果汁、果汁飲料などに含まれる糖類を指しています。もともと食品の中に含まれている糖分は対象外となっています。
砂糖はブドウ糖1分子、果糖1分子で構成されていて、食品の中では最もブドウ糖の含有量が多くなっています。血糖値を上昇させるのはブドウ糖だけです。血糖値が上昇するとインスリンの分泌量が増え、肝臓で合成される脂肪酸が増えて、これが太る要因となっています。これが続くと生活習慣病を引き起こすことになるだけに、健康を考えるなら砂糖の量は1日に25gまでに控えるようにするべきだということを伝えています。