アクティブリラクゼーションのすすめ

リラクゼーションというと身体を休めることが主になり、そのためにできるだけ身体を動かさないようにするものと思われています。しかし、身体を動かすことによってリラクゼーション効果を高める方法があり、これはアクティブリラクゼーションと呼ばれています。
一般的なイメージのリラクゼーションは休養です。「1日に30分間の休養時間を作ろう」という目標が厚生労働省から示されたことがあります。いつ休養してもよいのではなく、夕食から就寝までの間に30分間ということでしたが、この時間帯に身体を積極的に動かすことは難しく、身体を休めることが休養そのものと認識されました。
30分間の根拠について、後に担当者に聞いたことがあるのですが、時間の長さには意味はなく、他国を例にしたとのことでした。30分間ということでは、「1日に30分間の運動時間を作ろう」という目標も示されました。休養と運動を合わせて1時間もの時間を活動時間の中に作らなければならないので、寝る時間も削って生活している忙しい人には実施も継続も難しいのでは、と言われたものです。
健康の三要素は栄養、運動、休養ということで、栄養担当部署にも30分での目標を定めてはとの話があり、「夕食にかける時間を30分以上に」ということも考えられましたが、現実的ではないということで代わりに掲げられた目標が「1日30品目」で、30という数字だけが一致していました。
その30品目の食品を食べるというのは今では使われなくなりました。
休養と運動の30分間ずつ、合わせて1時間で実施することを一つにまとめて30分間でこなす方法はないものかと考えられた結果、採用されたのがアクティブリラクゼーションでした。身体を動かして頭を休め、リラックスする方法ということですが、今どきのリラクゼーションは身体よりも頭を休める、肉体的なストレスではなく、精神的なストレスの解消が主になりつつあります。運動などで一生懸命に身体を動かしているときには“頭の中がカラッポ”とまではいかなくても、かなり忘れ去ることができます。
脳が興奮状態になり、限界点を越えてしまうと、仕事をストップさせ、身体を休め、さらに睡眠をしても脳の興奮レベルは、なかなか下がってくれません。脳の興奮した部分を休めるには、興奮していない部分の脳を刺激することです。それによって、興奮レベルを急速に下げることができます。別に刺激した部分が興奮の限界点に近づいては仕方がないので、興奮状態になる前にやめて、身体を横にするか仮眠を取るようにします。すると、興奮がおさめられて、脳をリラックス状態に導くことができるようになります。
軽く汗をかく程度の運動をすると寝つきがよくなり、熟睡もできるようになりますが、これは身体が疲れた結果と一般には説明されています。しかし、運動をすることによって脳のストレスが弱められてリラックス状態になることから、自律神経の副交感神経が盛んに働くようになり、そのために眠りが得やすくなり、深く眠ることができるようになるのです。
脳がよりリラックスした状態で眠ると、脳神経の伝達経路のニューロンの結びつきが減って、脳の疲労回復がはかられることが東京大学から発表されています。