ウォーキングで脂肪肝を改善できるのか

前回の脂肪肝の話を受けて、脂肪肝を改善する方法として、どんな薬を飲めばよいのかという質問がありました。脂肪肝と診断されたときに、どんな医薬品が使われるのかというと、直接的な治療薬はありません。脂肪肝の合併症の2型糖尿病、高血圧、脂質異常症では、合併症の治療薬が使われるのですが、合併症に関係なく使われるのはビタミンEです。ビタミンEなら、何も薬に頼らなくてもよいという考えをする人が出てくるのも当然のことです。
脂肪肝は、肝臓で中性脂肪が合成されすぎで、それが肝臓の中に溜まっていくことで起こります。合成される中性脂肪の材料となるのは糖質と脂質なので、その摂取量を減らすのが第一の対策です。アルコール飲料も大きなエネルギー源となります。
中性脂肪が多く合成されたら、これを運動によって消費すると、肝臓の中から中性脂肪が多く放出されるようになるので、脂肪を消費する運動が重要になります。食べ過ぎと飲みすぎをしないようにして運動をするという、健康のための当たり前のことが最大の対策ということになります。
食べ過ぎをしないようにするということと同時に必要なことは、肝臓に蓄積された脂肪を肝臓の中から多く血液中に放出させることです。肝臓の中の脂肪は、たんぱく質と結びつくことによって放出されるので、たんぱく質が含まれる食品を食べることです。たんぱく質は肉、魚、乳製品にも多く含まれていますが、脂肪も含まれているので、すすめられているのは大豆と大豆製品(納豆、豆腐、豆乳など)です。飲酒をすると肝臓で合成される脂肪が増えるので、飲酒時には特に大豆・大豆製品をおかずとして食べるようにします。
脂肪を消費するための運動についてですが、推奨されているのは有酸素運動のウォーキングと無酸素運動のスクワットです。これは医療機関でも脂肪肝改善の運動療法として指導されていることです。ウォーキングは長く歩けば歩くほど脂肪の消費は進んでいきますが、脂肪肝の改善のためには1日に15分の早歩きが指導されます。日本メディカルダイエット支援機構が目標として出しているのは、15分間で1500歩のウォーキングです。実際にやってみると、それなりの負荷がかかります。
スクワットはレベルがあり、簡単な膝を軽く曲げ伸ばしする方法では、脂肪の代謝(燃焼)が大きく進む大腿四頭筋が強く刺激されません。膝と脚の付け根が平行になるまで、つまり太ももが上半身に対して90度の角度になるまで腰を深く落とす姿勢で、この最も大腿四頭筋に負荷がかかるスクワットを1日に10回行います。
無酸素運動を行ったあとに有酸素運動をするのが最も脂肪の代謝に効果がある方法で、このメカニズムは日本メディカルダイエット支援機構が実施しているインターバルウォーキングと同じ部分があります。