エネルギーロス率が低い脂肪は太る

同じだけのエネルギー量のものを食べれば、脂肪であろうと炭水化物であろうと、同じように体脂肪の蓄積に影響するということは常識的に語られています。しかし、食事のタイミング、つまり朝食に食べるのか昼食に食べるのか、それとも夕食に食べるのかによって体脂肪の蓄積量が大きく違ってきます。
食事で摂ったエネルギー量のうちエネルギー消費に使われるものを除くと、その多くは肝臓で脂肪酸に合成されます。そのあと中性脂肪に合成されて、脂肪細胞の中に蓄積されていきます。肝臓で合成されるときには、そのためのエネルギーが必要です。余分となったエネルギー量から合成のためのエネルギー量を差し引いたものが蓄積に回るエネルギー量となります。実際には他の要素も入ってくるのですが、これが基本となっています。
夕食の場合には、糖質(炭水化物から食物繊維を除いたエネルギーとなる部分)が脂肪酸に合成されるときには、余分となった分の23%ほどのエネルギーが使われます。ところが、脂肪が蓄積のための脂肪酸に合成されるときには、似たような構造のものに変化するだけなので、わずか3%ほどです。その差は20%にもなります。この合成のときに使われるのがエネルギーロスで、その割合がエネルギーロス率です。
これは夕方がエネルギーを蓄積するタイミングであることから、脂肪酸の合成を進める作用がある自律神経の副交感神経が活発に働いていることと関係しています。そのために脂肪が多く含まれた食品を夕食で多く食べると、どうしても太りやすくなります。
同じだけの脂肪を食べても、朝食と昼食のタイミングでは自律神経は交感神経の働きが盛んになっていて、脂肪酸がエネルギーとして使われやすくなっています。それに加えて、昼間の時間帯はインスリンの分泌が少ないので、脂肪の合成量は少なくなっています。少ないといっても全体としては10%ほどの差となっています。それでも毎日の積み重ねが徐々に体脂肪を増やしていくことを考えると、この差は見逃すわけにはいきません。脂肪が含まれた肉料理や揚げ物などを食べたかったら、夕食は避けて、昼食で食べるようにしたほうがよいということです。