僧帽弁の異常は老化以外でも起こるのか

心臓弁膜症の推定患者数は我が国では300万人といわれています。その代表的なものは大動脈弁の疾患で、65歳以上では4%ほどが罹患していると推定されています。心臓の弁は血管と同じような構造で、高齢になって動脈硬化が進むと心臓の弁に関する疾患も増えていきます。心臓に関わる疾患は心疾患と呼ばれ、日本人の死因の第2位(がんが第1位)となっています。
心疾患という名称を見て、さすがにメディア関係者は心臓に関わる疾患だということは理解していますが、一般対象のセミナーなどでは「心疾患、つまり心筋梗塞や狭心症など」と言わないと、心の病気と勘違いする人が出てきて、話が噛み合わなくなってしまいます。
心臓の弁は全身を巡ってきた血液が入ってくる右心房と、その先にある右心室の間にある三尖弁があり、右心室から肺につながる血管との間にある肺動脈弁、肺から戻ってきた血液が入ってくる左心房と、その先の左心室との間の僧帽弁があり、そして大動脈との間にある大動脈弁の4つの弁があります。弁が閉じて、心臓が収縮すると次の弁が開いて血液が送り出されます。このうち僧帽弁が血流に大きな影響を与えています。僧帽弁が完全に閉じる前に拍動が起こると血液の一部が左心房に逆流して、左心室から大動脈に送り出される血液が少なくなり、勢いも低下して、いわゆる血流が悪い状態になります。
僧帽弁が完全に閉じない状態になるのは僧帽弁閉鎖不全症と呼ばれます。動脈硬化や心筋梗塞が原因で起こる場合が多くなっているのですが、こういった原因ではなく、電気信号が乱れることによって閉鎖が充分に行われなくなることもあります。心臓の拍動と弁の開閉は右心房側にある洞結節から発せられる電気信号によってコントロールされていますが、バイパスができてしまうと、電気信号が遅れて届くために閉じ切る前に血液が送り出されるという結果になります。なぜ、このようなことに触れたのかというと、日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、このような状態になり、高齢化時代のメディカルダイエットの研究に心臓弁膜症への対応も加えたからです。