エネルギー代謝96 コレステロール対策の運動

有酸素運動によって中性脂肪の分解が進み、血液中の中性脂肪も脂肪細胞に蓄積されている内臓脂肪も減るようになります。中性脂肪もコレステロールも脂肪であることには変わりがないので、有酸素運動によってコレステロールが分解されるように思われることがあるのですが、そのようなことはありません。

コレステロールは全身の細胞膜の材料であり、ホルモンの原料、脂肪を分解する胆汁酸の材料ともなっています。有酸素運動によってコレステロールそのものが減ってしまったら、運動をするのは健康維持にマイナスになりかねません。

コレステロールが健康によくないと言われるのは、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポタンパク)で、LDLが増えると動脈硬化のリスクが高まるからです。リポタンパクはコレステロールとタンパク質が結びついたもので、コレステロールを血液中に運ぶ役割をしています。

肝臓からコレステロールを運び出すのがLDLで、血液中の余分なコレステロールを肝臓に戻すのが善玉コレステロールとも呼ばれるHDL(高比重リポタンパク)です。HDLが多くなるとLDLが減って、動脈硬化のリスクが低下します。

HDLは肝臓の末梢血管で作られていて、末梢血管の血流が盛んになることで多く作られるようになります。有酸素運動をすると、末梢血管の血流が盛んになるので、結果としてLDLが減っていきます。

そのための運動としてすすめられるのはウォーキングで、1週間に合計で120分の有酸素運動が有効とされます。ただ歩くだけでなく、歩く速度を早めると、より血流が盛んになり、多くの酸素が運ばれて、LDLが減る(LDLコレステロール値が下がる)という結果になるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)