オリゴ糖で“やせ菌”を増やす

腸内細菌には、やせ菌と呼ばれるものと、でぶ菌と呼ばれるものがあります。どちらの菌が太っているか、ということではなくて、その腸内細菌を多く腸内に棲みつかせている人がやせやすいのか、それとも太りやすいのか、という分類です。善玉菌がやせ菌、悪玉菌がでぶ菌ということなら理解もしやすくて、やせるために何を食べればよいのかもわかりやすくなります。しかし、やせ菌もでぶ菌も日和見菌の一種です。腸内細菌の健康的なバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7だとされています。日和見菌は善玉菌が多い状態では特に何をすることもないのですが、悪玉菌が多くなると悪玉菌の味方をして、腸内環境を悪化させることになります。
やせ菌はバクテロイデス菌で、短鎖脂肪酸を増やして代謝を高める働きをします。でぶ菌はファーミキューテス菌で、エネルギーを多く作り出して脂肪酸に変化させて、脂肪細胞の中に蓄積させます。エネルギーは多いほうが活力を高めるといっても、これが使われずに蓄積に回る一方となると、よいこととは言えなくなります。
やせ菌とでぶ菌の割合を変えるためには何をすればよいのかということは実は判明していて、やせ菌を増やすためには水溶性食物繊維とオリゴ糖を摂ることが必要になります。でぶ菌は脂肪と肉類によって増えていきます。少しだけ詳しい話をすると、でぶ菌が好むのは脂肪の中でも分解されにくい長鎖脂肪酸で、動物性食品に多く含まれています。もう一つは動物性たんぱく質で、中でも肉類を好みます。水溶性食物繊維は海藻、きのこ、果物などに多く含まれています。オリゴ糖は胃では分解されないために吸収されないものの、腸内細菌によって分解されて、腸内細菌の善玉菌や一部の日和見菌のエサとなります。
ここまで読んできて気づいた人も多いかと思いますが、やせ菌を増やすのは善玉菌を増やす食品であり、でぶ菌を増やすのは悪玉菌を増やす食品です。善玉菌を増やして腸内環境を整えることは、やせ菌を増やす結果になっているということです。