EPAは善玉コレステロールの働きを高める

NHKの情報番組で、前回放送のEPA(エイコサペンタエン酸)のダイエット効果を受けた形で、善玉コレステロールと呼ばれるHDL(高比重リポタンパク)について紹介していました。EPAの重要性が広く知られるようになった今から20年ほど前には、専門誌や教科書に「EPAの摂取でHDLが増える」と書かれたものと、「HDLを増やす栄養素はない」とか書かれたものがあって、両方の記載が混乱を招いたことがあります。その混乱は一部では今でも続いています。どちらが正しいのか、ということですが、その結論を出すような番組でした。
HDLは血液中で余分となったコレステロールを取り込んで肝臓に運んでくる働きがあります。肝臓で合成されたコレステロールを、血液中を通って全身に運んでいるのは悪玉コレステロールと呼ばれるLDL(低比重リポタンパク)です。運ぶコレステロールが増えすぎると血液中に漏れるコレステロールが増えて、これが動脈硬化の原因となります。合成されるコレステロールが増えると、これを運ぶLDLが増えて、同時にHDLも増えます。それなら問題はないと思われがちですが、HDLが増えても、数に応じてコレステロールが減るとは限りません。
HDLはコレステロールの取り込みの能力の差があって、ほとんど取り込めないHDLも存在しています。その能力を決めるのがEPAで、EPAの摂取量が多い人はHDLのコレステロール取り込み能力が高いことを国立循環器病研究センターの研究所が確認しています。EPAを摂るとLDLが減るので、これまではHDLが増えたと考えて、EPAがHDLを増やしたと思い込まれていたのですが、これが違っていて、EPAがHDLの能力を高めていたということです。
HDLを増やす栄養素はない、というのは変わりがないのですが、増やす方法がないわけではありません。その方法は有酸素運動のウォーキングで、1日に30分のウォーキングによってHDLを増やすことができます。ウォーキングによってHDLを増やして、さらにEPAによってHDLの働きが高まれば、動脈硬化のリスクを大きく下げることができるということです。