コエンザイムQ10はダイエット素材なのか

2001年にコエンザイムQ10が医薬品成分から食品成分として使用することが許可され、サプリメント成分として一般に使われるようになったとき、これで代謝科学を中心に据えるメディカルダイエットの研究は、より実践的になると大きな期待を寄せていました。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、全国納豆協同組合連合会の納豆PRを進めているときに、当時の日曜日夜の情報番組を活用してPRして成功させたことがあり、その番組でコエンザイムQ10が取り上げられると知ったときに、納豆と同様にコエンザイムQ10の有効性について広く伝わるものとワクワクしながら番組を見たものです。ところが、番組の内容はダイエットの新成分が登場したという切り口で、膨らんだ期待が一気に萎んでしまいました。
ダイエット研究をしている私たちが、ダイエットの切り口でガッカリしたというのは妙な感じがするかもしれませんが、コエンザイムQ10は細胞内のミトコンドリアでエネルギー産生をするために必要な成分で、加齢によって減少してきて、これが代謝の低下につながることから、同じように食べて同じように動いていても太っていく原因となっています。その代謝を起こすための成分を補うことができようになったのは画期的なことです。今までのダイエット用のサプリメント成分とは、まったく異なるものであったのに、番組での取り上げられ方が、まるで唐辛子のカプサイシンやコーヒーのカフェインのような扱いでの紹介であったため、番組をサポートした製造会社に問い合わせしたのはダイエット商品を販売している会社が多く、当然のようにコエンザイムQ10を使った商品が販売されたとき、それに飛びついたのはダイエット希望の人たち、特に多かったのは女性たちでした。
登場したばかりのコエンザイムQ10商品の中には成分をハードカプセルに入れたものがあり、溶けにくいために吸収されにくいというものがありました。そのことがわかってから、ソフトカプセルだけとなりましたが、サプリメント・健康食品は摂取タイミングである用法用量を表示して販売できない規制があることから、吸収されない空腹時に摂る人もいて、効果が出にくいだけでなく効果がないサプリメント成分と言われるようにもなってしまいました。
そもそもコエンザイムQ10の吸収率は1%ほどで、効果が表れにくいこともあったのですが、今では私たちが注目しているシクロデキストリン包接によるものが登場していて、いつ摂ってもよく、しかも吸収率も10%以上となり、生活習慣病対策のメディカルダイエットに使える本当に有効な成分となったのです。