タバコをやめると太るわけではない

タバコとダイエットについては何度も触れてきているのですが、いまだに「タバコをやめると太る」「太るくらいならタバコを吸い続ける」ということを言う人がいます。タバコを吸うと太りにくくなるのは確かです。しかも食後の一服は胃が楽になって、さらに食べた割には太らないので、タバコに依存したくなる気持ちはわからないでもありません。しかし、これは正常な身体の反応ではなくて、タバコの健康被害の分も加味すると、あまり口にしてはほしくないことです。
タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、できることなら早く身体の中から追い出したいものなので、胃が激しく収縮して腸へと送り出そうとします。食事の後にタバコを吸うと胃の収縮によって、食べたものが送り出されます。食後の一服で胃が楽になるのは、このためです。まだ消化が進んでいない状態で小腸に送られたら、吸収が充分にできなくなります。だから、太りにくくなるのです。
タバコを吸って太りにくくなるなら、タバコを吸わなければ普通の状態になるだけです。それで太るということはないはずですが、それでも太るというなら、それは食べすぎ、エネルギーの取りすぎであった証拠です。食べすぎていても、タバコを吸えば普通の状態になる、普通よりもやせられるというのは嬉しい身体の反応ではあっても、それと引き換えにタバコの害を考えないようにすることはしてはいけないことです。
タバコを吸うと活性酸素が多く発生して、これが血管の老化を進めることになります。動脈硬化ということですが、血管の弾力性が失われていくと血流が低下していきます。それが代謝の低下にもつながります。ということで、ダイエットにはマイナスの結果となります。
また、タバコを吸うと血圧が高まり、血管が萎縮して、これも血流を低下することになります。こういったことが重なると、全身の隅々にまで血液とともに酸素、栄養素が運べなくなるので、どうしても代謝低下、エネルギー不足になってしまうということです。
タバコをやめると「口寂しい」ということを言う人もいます。これは言い訳だとされていますが、タバコを口に咥えていないと寂しい気持ちになって、その代わりとして口に食べ物を入れてしまう人がいます。口が寂しい感じがするだけなら、食べ物でなくて飲み物でもよいはずです。その飲み物もエネルギー量が高いものではなくてエネルギー量ゼロのお茶や水でもよいはずです。
ダイエットということでは、ストレスがつきまといます。ストレスの解消にタバコを吸っているという人がいます。タバコを吸うと気分が落ち着く、タバコを吸うと疲れにくくなる、疲れが取れる、頭らスッキリする、仕事がはかどる、集中力が高まる……と、よくもこんなにもと思えるほど次から次へとメリットが並べ立てられます。しかし、これは中毒患者が口にする言葉と同じです。タバコを吸ってプラスの結果が得られるとしたら、すでに中毒状態となっている証拠で、そんなことを言わなくても済むようにするのが正しいことではないでしょうか。