テロメアを短くしないためには抗酸化成分だけでよいのか

テロメアは細胞の染色体の末端の塩基という化学物質で、最末端部のGテールは細胞が分裂するたびに短くなっていきます。テロメアは誕生したときには1万5000ほどあり、これが6000を下回ると不安定になり、2000になると分裂ができなくなる細胞老化となります。テロメアが長い人ほど身体は健康で、寿命も長くなるとされています。
テロメアを長く保つためには充分な睡眠、適度な運動、そしてバランスの取れた栄養という、以前から言い古された健康によいことをするのが必要で、中でも抗酸化成分を摂ることが重要です。それをテーマにしたテレビ番組で、専門家のドクターが自らの食生活として、色の濃い野菜サラダ、鯖(サバ)の刺身、鮭(サケ)の汁物を紹介していました。サラダにはビタミンC、魚にはビタミンEといった抗酸化ビタミンが含まれ、鯖にはセレン、鮭にはアスタキサンチンという抗酸化成分が含まれていると紹介されていました。
鯖が登場したときには、てっきり不飽和脂肪酸のEPAとDHAの話をするのかと思っていましたが、不飽和脂肪酸は酸化しやすくて、せっかくの抗酸化成分が酸化によって壊れてしまうので、あえて触れなかったのかもしれません。鮭のアスタキサンチンは、もともとはオキアミの赤い色素成分で、これをエビやカニ、鮭も餌として食べているので、そこから色素が移ってきています。鮭はサーモンピンクと呼ばれるように赤身のような色をしていますが、実際には白身魚であって、アスタキサンチンによって赤くなっています。メスの鮭は産卵するとイクラに赤い色素が移るために身は白くなります。
抗酸化成分だけを摂ればよいという話ではなくて、肉類に多くて血液をドロドロにさせるほうの飽和脂肪酸を減らして、不足しがちな不飽和脂肪酸を摂って血液サラサラに、という話を期待していたのですが、そうではありませんでした。