歩くほど認知機能は高まるのか

有酸素運動は認知機能を高めることが多くの研究によって確認されています。代表的な有酸素運動であるウォーキングも脳の記憶力と思考力を改善することが明らかにされています。その理由を調べてみると、ウォーキングをする人に認知機能の低下が少なかったという事例も示されています。実は、これを裏付けとして出している報告も少なくないのですが、認知機能に影響を与える前頭葉は運動機能にも関係していて、認知機能が高い人は運動機能も高くて、そのために歩く意欲が高まり、それで有酸素運動が認知機能に効果があるという説になったという指摘もあります。
それだけが事実では少し悲しい感じもしますが、有酸素運動を続けることで脳の記憶や学習を司っている海馬の神経が増えて、思考や学習力に関わる前頭葉の量が増えることがアメリカの研究で確認されています。どれくらい歩いた結果かというと、早歩きを含めた活動的なウォーキングを週に150分実施したもので、毎日だと20分くらいのウォーキングになります。
20分間の活動的なウォーキングというと、中之条研究(群馬県中之条町)では65歳以上の高齢者は1日に8000歩の歩行で、そのうちに20分間は中強度の早歩きをすることが健康寿命を延ばすことが確認されています。これらの研究を合わせると、日常的な歩行にプラスするのは20分間の早歩きで、これを継続することによって認知機能を高めることができるということになります。
健康寿命の延伸というと、生活習慣病対策のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とロコモティブシンドローム(運動器症候群)に対応することによって達成できると一般には言われていますが、認知機能が低下したのでは自由に動き回ることもできなくなり、これが健康寿命に影響を与えてしまいます。ということで、ウォーキングをするなら認知機能を高める効果がある速歩を取り入れ、さらに歩幅を広げて勢いよく歩き、筋肉を鍛えながらブドウ糖と脂肪酸を効果的に燃焼させるようにしたいものです。