レモンを食べるだけで血圧が下げられるのか

テレビの情報番組は情報のレベルの差が大きくて、番組の中での情報を信じることができるのか、というよりも、情報番組自体が信用に値するのかということを気にする人が増えています。経済番組の中で健康がテーマになっていると信じたい気持ちになるかもしれませんが、そもそもの切り口が合っているのかという疑問を感じた番組がありました。
それはレモンに含まれるエリオシトリンというポリフェノールの血圧降下作用でした。広島県の大学が、広島県のレモン農家を対象にして、週にレモンを何個食べているのかを比較して、週5個以上を食べている人は血圧が3mmHg下がったという紹介でした。
エリオシトリンの作用機序(作用するメカニズム)は知っているので、3mmHgくらい下がっても驚きはしないのですが、こういった比較をする場合は、もともと血圧が高い人であったのか、それとも正常値の人で血圧が下がったのかの基礎情報は必要です。レモン農家は身体を動かしている人で、そういう人と、あまり身体を動かさない人では、どんな差が出るのかも気になります。レモン農家は少なくとも週に1個以上は食べていて、普通の人は週に1個も食べる人は少なく、さらに食べるときも1個を丸々食べているわけではないという人が多いはずです。
そういったレモンを食べる機会が少ない人にレモンを多く食べてもらってエリオシトリンを摂取した場合には、どれだけの効果があるのかを知りたいところですが、番組の中ではレモン農家で毎日3〜5個も食べている人、それもエリオシトリンが豊富に含まれているレモンの皮を使った料理を食べている人を例に、血圧が下がったとの結果を示していました。このことからエリオシトリンを多く摂ることによって血圧が大きく下がる可能性があるということを言いたかったのかもしれませんが、どんなに食生活の工夫をしてみても、1日に何個もレモンを食べるわけにはいかない人にとっては、エリオシトリンが使われたサプリメントを摂るしかないのか、と感じさせるような番組でした。