なぜエリオシトリンで血圧が下がるのか

レモンに含まれるエリオシトリンを取り上げたテレビ番組について紹介したところ、エリオシトリンそのものの情報がほしい、血圧を下げる作用機序(メカニズム)について教えてほしいという問い合わせがありました。今どきはネット検索で、いくらでも情報は出てくるにも関わらず、そんな問い合わせをしてくるのを、情報が多すぎて何を信じていいかわからないということもあるようです。
エリオシトリンはレモンだけでなくライムにも多く含まれる黄色い色素のポリフェノールです。柑橘類特有の成分ということではなくて、オレンジやグレープフルーツには100分の1ほどしか含まれていません。特に多く含まれているのはレモンの皮で、レモンの果汁部分の20倍ほどの含有量となっています。
エリオシトリンと血圧降下の関係ですが、影響しているのは非常に強い抗酸化力だと説明されています。血液中では酸化したLDLが血管の中で固まり、そのために血流が低下することから血流を確保するために血圧が上昇します。抗酸化作用によって酸化が防がれると血流が低下しないことから血圧が下がるという説明がされていましたが、もともと抗酸化成分が摂れている人には効果があるのか、という疑問も湧いてきます。
エリオシトリンによる動物試験が行われていますが、4週間でラットの血圧上昇が抑制されています。次も動物試験ですが、エリオシトリンを糖尿病を発症したラットに与えたところ脂質過酸化量の上昇が抑制されたことから、糖尿病合併症に起因する酸化ストレスを低減させることが示されています。糖尿病になるとヘモグロビンA1cが生成されるときに活性酸素が多く発生して、これが血管の老化を進めることが知られています。これを防ぐことで、細小血管が傷んでいくことで起こる合併症が防止できるという考えです。また、脂肪肝の防止も期待されていて、今後の研究成果が待たれている有能な成分であることは間違いがありません。