人工甘味料は糖尿病に有効なのか

砂糖はブドウ糖が1分子、果糖が1分子で構成されていて、ブドウ糖が最も多い食品となっています。ここでいう食品は通常の食事で食べているもので、加工食品に使われる特殊な糖類は含まれていません。特殊な糖類というのは異性化糖のことで、代表的なものとしてはブドウ糖果糖液糖と果糖ブドウ糖液糖があります。前者はブドウ糖のほうが多いもので、こちらはあまり使われていません。加工食品に多く使われるのは後者のほうで果糖のほうが多くなっています。これは果糖のほうが甘いからで、砂糖の甘味度(甘みの強さ)を100とした場合に、ブドウ糖の甘味度は65〜80、果糖は120〜170となります。つまり、果糖はブドウ糖の2倍ほどの甘さとなっているのです。ブドウ糖も果糖も糖であることには違いがないので、エネルギー量は1gあたり約4kcalとなっています。
果糖よりも、もっと甘いのが人工甘味料で、エネルギー量は極めて低いのに甘味度は砂糖の200倍以上となっています。中には1万倍というものもあります。人工甘味料は、ブドウ糖が多く含まれているものを食べると血糖値が急上昇する糖尿病の人に好まれています。人工甘味料としては、サッカリン、アスパルテーム、スクラロール、アセスルファムK、ネオテーム、アドバンテームの6種類が使用許可されています。人工甘味料を使うと、「甘いものが食べたくて砂糖が多く含まれたものを食べるようなことが抑えられる」というのがセールストークです。
日本の料理は調味料に「さしすせそ」と砂糖が一番に出てくるほど多めに使われます。洋食では基本的に砂糖は使われず、その代わりに甘いデザートが食べられます。糖尿病に限らずダイエット目的でも甘いものを制限される人は、甘いものが好きで、ついつい食べすぎるところがあります。甘いものを減らす習慣を身につけることによって全体的にブドウ糖の摂取を控えないといけないのに、飲料に人工甘味料を入れて飲んでいると、食事に使われる砂糖が少ないと、おいしく感じにくくなります。
そのために全体的に摂取される砂糖が減らせず、長期間で考えると、多くのブドウ糖を摂ってしまい、糖尿病のリスクが高まると指摘されているのです。