健康のために大腸の構造と働きを知っておこう

大腸は盲腸、結腸、直腸で構成される長さが約1.5mの管状の器官で、直径は小腸の2倍ほどあります。小腸で栄養成分を吸収された残りは、水分が多いために、まだドロドロした状態になっていますが、大腸の中で15時間ほどの時間をかけて水分が徐々に吸収され、最終的には適度な固さと量の便になって、肛門から排出されます。
直腸に固くなった便が送られてくると、その刺激が脳に伝わる排便反射が起こり、直腸にたまった便だけが排泄されます。
大腸まで送られてきた食べ物は、栄養素の90%ほどが小腸で吸収されていることから、大腸の主な役割は、水分を吸収して固形物の便を作り、腸内細菌によって小腸では分解されなかった栄養素を分解して吸収することとなっています。
1日に排泄される便は60~180gほどで、通常は70%ほどが水分となっています。水分以外では食物繊維などの消化されなかった食べ物の残りかす、腸内細菌とその死骸、はがれ落ちた腸の細胞が、それぞれ約7%ずつとなっています。
腸内細菌の総数は約1000兆個とされています。以前は100兆個といわれ、それが300兆個に増え、今では1000兆個とされたものの、これは腸内の細菌数をすべて数えたわけではないので確実な数とは言えません。しかし、数はどうであっても、腸内細菌はバランスをとっていて、善玉菌が増えると悪玉菌が減っていき、善玉菌の働きによる腸内での発酵が進んでいきます。発酵が進むと便の量が増えることになります。水分量が増えると軟便になって、便の量も増えることになります。
一般には、便の中の水分量が70%前後で普通の硬さの便となり、70%以下では硬い便になり、70~80%では軟便、80%以上では下痢となります。水分量が70%前後であっても、便が長く大腸にとどまっていると大腸壁から水分が吸収されて、どんどんと硬くなっていくようになります。便通がよいということは、便の硬さが適度に保たれるので、それも便通をよくすることになるということです。