健康ウォーキング55 白筋と赤筋を意識した歩き方

筋力は一般には大きな力を出す筋収縮力が注目されますが、それ以外にも筋持久力と筋代謝力があげられます。筋収縮力が短時間に大きな力を発揮する筋肉の力であるのに対して、筋持久力は一定の力を長時間に渡って発揮する筋肉の力を指しています。発揮される力が違っていることから、そのために主に使われる筋肉の種類も異なります。
筋収縮力に大きく影響するのは白筋で、白筋は速筋とも呼ばれます。白筋は白い色をした筋繊維で、素早く大きな力を発揮できることから、瞬発的な運動をするときに使われます。筋持久力に大きく影響する赤筋は収縮速度が遅く、長い間収縮を続けることができることから長時間の持続的な運動に適した筋肉となっています。
赤筋には色素タンパクのミオグロビンが多く含まれ、多くの酸素を蓄えていることから多くのエネルギーを作り続けることができます。白筋と赤筋は魚の身にたとえられることがあります。白身魚は普段はあまり動かないものの、急に激しく動きことができます。それに対して赤身魚は、ずっと泳ぎ続けているために、早く泳ぐことはできません。
人間の筋肉は白筋と赤筋に区分けされているわけではなくて、白筋の筋繊維と赤筋の筋繊維が重なり合っています。瞬発的な運動をすると白筋が太くなり、持続的な運動をすると赤筋が太くなって、それぞれの運動に適した筋肉にしていくことができます。
もう一つの筋代謝力は、筋肉がエネルギー源(ブドウ糖、脂肪酸)を用いてエネルギーを産生する能力のことです。ブドウ糖が主なエネルギー源となるのは歩き始めてから10〜15分で、それ以降は脂肪酸が主なエネルギー源に切り替わります。脂肪酸を効果的にエネルギー源とすることで、血液中の脂肪酸を減らすると、脂肪細胞に蓄積されている中性脂肪が分解されて、脂肪酸となって血液中に放出されます。これによって生活習慣病の予防にもつながります。
筋代謝力に関わるのは赤筋で、筋代謝力を高めるためには歩く機会を増やすことが必要です。長く歩いたときにはブドウ糖が使われないわけではなく、使用される割合が減っているだけで、実際の使用量は増えています。だから、生活習慣病の糖尿病や脂質異常症の予防と改善には歩くことがすすめられるのです。