児童発達サポーターの必要性

発達障害児の保護者を悩ませていることは、目の前の行動や将来的な不安はもちろんのことですが、それと同じくらいに悩みとなっているのは周囲の理解です。進学も就職も社会的な理解があって初めて解決の道が開けていきます。しかし、その悩みを解決する段階には、まだまだ届いていないというのが実際のところです。
この理解と、理解に基づいた支援を拡充させていくためにはサポーターの存在が必要です。児童発達支援施設も自治体などの担当者も学校も医療機関もサポーターではあるものの、改善のための支援をした先に待ち構えている地域社会の理解が足りないのでは、せっかくの支援も行き届かなくなってしまいます。
このサポーターのモデルとなる活動は、すでに成果を上げています。そのモデルは厚生労働省よる認知症サポーターです。これは認知症に関する正しい知識と理解をもって、地域や職場などで認知症の人や家族に対して手助けができる人を指しています。認知症サポーターになるためには特別な資格や条件は必要がなくて、90分の養成講習を受講するだけで誰もがサポーターとして認められます。資格ではないので、日常生活の中で、できる範囲での支援が求められているだけです。
2015年の厚生労働省による認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)で認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進が掲げられ、その中で認知症サポーターが取り上げられました。認知症サポーターを国民の10%にするという目標は、すでに達せられています。
この次に社会の理解を深めてほしいのは発達障害です。子どもの10%が発達障害で、男子に多いことから男子では13%と考えられています。発達障害は支援によって改善には向かっていくものの、その特性は生涯にわたって続くだけに、少子・超高齢社会においては発達障害児の活躍の場が強く求められ、できるだけ早い社会的な理解の普及が期待されているのです。