噛む噛むeverybody10 唾液の抗酸化作用

健康を維持するためには、全身の細胞が正常な状態が働いていることが必要となりますが、その大切な細胞を傷つけるものがあります。それは活性酸素で、細胞を傷つけるだけでなく、炎症を起こす原因にもなり、生活習慣病との関わりも指摘されています。

活性酸素は吸い込んだ酸素のうち2〜3%が変化したもので、電子のバランスが崩れていることから、欠けている電子を他のところから奪って正常な酸素になろうとします。細胞の周りで活性酸素が発生すると、細胞から電子を奪います。電子を奪われた細胞は破壊されてしまいます。

体内には活性酸素を消去する酵素があります。この抗酸化酵素は若いときには体内に多く存在しているのですが、40歳を過ぎた頃から減っていき、抗酸化能力も低下していきます。体内の抗酸化酵素はSOD(スーパーオキシドジムスターゼ)、ペルオキシダーゼ、カタラーゼですが、このうちペルオキシダーゼとカタラーゼは自分で増やすことが可能です。

というのは、ペルオキシダーゼとカタラーゼは唾液の中に含まれていて、よく噛むことによって増やしていくことができるからです。

唾液に含まれるペルオキシダーゼには抗菌作用があり、活性酸素を消去する酵素であることは以前から知られていました。カタラーゼは過酸化水素を水と酸素に分解する酵素で、強い抗酸化力が期待されています。

活性酸素は、有害物質(農薬、食品添加物、化学物質、重金属など)を肝臓で分解するときにも多く発生します。これらは食品とともに体内に取り込まれることが多いだけに、その害を最初の段階から消去できるということで、よく噛んで、唾液を多く分泌させることは全身の健康にも役立つ重要なこととなっています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕